(8月10日)

reported by 柿本 正憲



コース受講報告


【コース名】コース20:Real-Time Shadowing Technique
【日時】8月10日(火)8:30-17:30(一部だけ受講)
【座長】Marc Stamminger(University of Erlangen-Nuremberg)
【講師】 Marc Stamminger
Eric Chan (MIT)
Wolfgang Heidrich (University of British Columbia)
Jan Kautz (MIT)
Mark Kilgard (NVIDIA)
【会場】ホールD (約900人収容)
【聴衆】約約300名〜400名
【概要】
 Marc StammingerとEric Chanの発表の一部を聴いた。
 
 Stammingerは、チュートリアルとして、シャドウマッピングを使った影つけのアルゴリズムについて解説したあと、その問題点を解決する手法について説明した。シャドウマッピングでは、光源の位置から描画した結果の画像を影つけの情報として利用するため、光源よりも視点に近い位置に落ちる影は輪郭がぎざぎざになってしまう問題がある。Stammingerは、 Perspective Shadow Mappingと称して、あらかじめ物体に透視変換をかけて光源からの描画をやることで、視点近くのぎざぎざを解消した。別の言い方をすると、視点の近くのものは大きく表示されるから、その分物体を大きくしてから影の描画をやって解像度を稼ぐということになる。
 
【感想】
 このPerspective Shadow Mappingは、2002年のSIGGRAPHの論文セッションで発表したもので、私もその発表を聞いていた。そのときは、ちょっとしたアイディア一発で論文になったなぁと思ったが、コースの座長に採用されたというのは、学会での評価が高いということなのだろう。コロンブスの卵的な技術である。




展示会見学報告(速報)


【日時】8月10日(火)10:30-12:30
【会場】ホールG,H,J,K
【概要】
 最初のうちなら展示会も混まないだろうと思い、また、コースを受講していると寝てしまいそうだったので、急遽展示会見学に行った(カメラの電池をホテルで充電したまま忘れてきてしまったため、写真は明日以降です)。
 
 開幕直後だったが、かなり混みあっていた。近年は展示会も低調ぎみで、規模も一時期(90年代)よりやや小さくなる傾向にあったが、それを感じさせないにぎわいだった。やはりLAは映画関係者が多いためSIGGRAPH会場としてはかなり有利である。ちなみにSIGGRAPHは来年もLAです。
 
◆ SGI ◆
 SGIブースは、昨年は展示会に出さなかったが、今年は小規模な展示を行った。場所は中央の比較的いい場所にあるが、隣のSoftImageや近くのNVIDIAに比べると1/3〜1/4ほどの広さである(かつてSGIは毎年入り口そばに一番大きなブースを構えていたが、今年はその場所はAppleが占めている)。 Onyx4を使って画面いっぱいに分子モデルを表示し、すぐ隣の同じモニターにVizserverで送った結果を表示していた。
 
◆ NVIDIA ◆
 NVIDIAでは9面の液晶ディスプレイを3×3に並べて、Real Time Technology社のソフトで車のインテリアを表示していた。 9面とは言っても、液晶パネルなので当然枠はついてしまう。 Real Time TechnologyのソフトはGPUのプログラマブルシェーダを使って座席やインパネ表面の質感を非常にきれいに描画していた。 9面の同期は一応取れてはいた。また、GoForce(携帯機器向けの3Dチップ)のデモもやっていたが、実機ではなく、PCの画面を使って携帯機器をCGで表示し、その中の小さな画面にデモの表示を行っていた。入力装置はテンキーだけが置かれており、レーシングゲームでは4キーで左に6キーで右に行くというようにキーを押して制御する。狙っている市場はゲームのほかに、GPSと組み合わせたパーソナルナビゲーションだそうである。
 
◆ X3D ◆
 今日は立体視ディスプレイに関して一通り見てきた。X3Dは比較的大きなブースで、 70インチプラズマと21インチ液晶を展示していた。画素はかなり粗かったが、比較的安定して立体感が出ていた。北大の山本先生とその場で一緒になり話をしたが、以前よりはいいが画質はまだまだだし、市場もニッチだという厳しい評価であった。
 
◆ Actuality Systems ◆
 Perspectaという変わった装置を展示していた。直径60cmのガラス球の中で円形のスクリーンを高速に回転させてそこに3Dモデルを表示するというもので、数年前からある方式だ。私はこれまでこの装置はフリッカが多くとても使いものにならないと思っていたが、今年のは少し品質が上がっており、もしかしたら買う人がいるかもしれないとも思い始めた。一秒間に15回転しているそうで、フリッカが以前よりは少なくなっている。内臓らしきものをCGで表示していた。医療分野で結構いいかもしれない。日本の代理店は日商エレ。
 
◆ SeeReal, X3D, Sharp, SANYO (3Dコンソーシアム) ◆
 日本の裸眼立体視ディスプレイベンダーで作った「3Dコンソーシアム」がブースを出していた。見る人は日本の団体だとは気づかないだろう。
 
 SeeRealのディスプレイは2眼のレンティキュラレンズ方式だが、これまで見た裸眼立体ディスプレイの中で一番立体感が強い。かなり手前に出てもクロストークが起きない。他社製品に比べて奥行きは2倍ぐらいは取れそうである。Sharpは例の2眼の液晶だがコンテンツが悪いからか、 ISLのデモのほうがずっと良いような展示だった。三洋は例によって22インチの液晶T221を出していたが、新製品の7インチ液晶(4眼)はかなり安定して立体に見えていた。カーナビとパチンコ向けだとのことである。
 
◆ 昔ながらの立体視 ◆
 シャッターめがね式(Active方式)も偏光めがね式(Passive方式)もまだ2、3社で展示していたが、以前と変わっていない。
 
 Kodakが、のぞき窓式の、大きめの電子顕微鏡のような立体視ディスプレイを展示していた。パンフレットには視野・クロストーク・フリッカなど既存品の問題点をことごとく解決したように書いてあったし、列もできていたのでつい並んでしまった。のぞき窓をのぞいてみると、確か明るくて視野も広いし画質もいいが、眼を自由に動かせないのは致命的。悪くはないと思ったがこれだけ待って見るほどではなかった。
 
 Head Mounted Displayも展示されていた。5DTという初めて聞く名前の会社である。 HMDも商品化されてから15年たつが、あまり大きな進歩がない。個人的にもあまり使いたくない装置だが、とにかく(これも並んで)試して見た。舗装された山道をなぜかリュージュで下りるゲームなのだが、頭をいろいろ振ってみたりしてたらクラッシュしまくりで、タイムも出ないという結果になった。品質としては、ディレイが以前より格段に少なくなったが、やっとこれで普通に使えるというレベルだと思った。装着感などは、やはり長時間の作業にはちょっと耐えられそうにない。
 
 
【感想】
  ここ数年は98, 2000, 2002, 2004年と、1年おきにSIGGRAPHを訪れている。2000年はWeb3Dが盛んに展示され、 2002年は立体視やラピッドプロトタイプなどのハード関係だったが、今年はまだあまり特徴が感じられない(感性が鈍った?)。強いて特徴らしい点を上げると、かなり多くの大学やデザイン専門学校が学生募集のためにブースを出している点である。